OITA NAKAMURA HOSPITAL

Mini[ ミニ記事 ]

患者家族サポートシリーズ

もしもの時に知っておくと安心!介護保険サービスと利用方法

みなさんは介護保険についてご存知ですか? 「介護保険は知っているけどよくわからない」「どのようなサービスが受けられるの?」「サービスを受けたいけど何から始めていいかわからない」そんな方も多いのではないでしょうか。介護保険は自分自身や家族の人生を支える制度なので、もしもの時に備えて理解しておくと安心です。そこで今回は、介護保険で受けられるサービスや申請方法などをわかりやすく解説します。
※令和6年10月時点の介護保険制度を基本に紹介しております。下記は一例であり、患者さんの状況・自治体によって若干異なる場合がございますので、ご了承ください。
 

Characters 登場人物

中村さん(80代)

大分市在住

中村さん(80代)

少し前に妻が他界し、現在は一軒家で1人暮らし。週に1度娘が会いにくることを楽しみにしている。

中村さんの娘

大分市在住

中村さんの娘

結婚を機に実家を出て父とは離れて暮らす。週に1度は、電話や実家に行き父の様子を見ている。

整形外科 医師

大分中村病院

整形外科 医師

大分中村病院に勤務の整形外科医師。丁寧な診察と分かりやすい説明をこころがけている。

ソーシャルワーカー

大分中村病院

ソーシャルワーカー

大分中村病院に勤務。患者さんやそのご家族と直接関わり、介護保険申請や利用のサポートに関する実務的な業務を行う。

大分市内で一人暮らしをしている中村さん。普段から娘が月に数回、自宅に様子を見に来てくれていました。そんなある日、中村さんは自宅で階段を踏み外してしまいました。

突然の怪我と不安

お父さん、しっかりして!大丈夫!?痛いところはない?

中村さんの娘

いたた……階段から落ちてしまったな。これはもしかしたら骨折しているかもしれんな……。

中村さん(80代)

中村さんは痛みをこらえながらも、足を動かそうとしましたが、激痛が走り立ち上がることができません。娘はすぐに救急車を呼び、病院へ付き添います。

病院に到着し、診察を受けた結果、中村さんは骨折していることが判明。医師は入院が必要だと告げました。

整形外科 医師

お父さんは骨折されています。回復まで少し時間がかかりますので、しばらく入院してリハビリが必要です。ソーシャルワーカーさんにもサポートしてもらいましょう。

退院後の生活が不安

入院の話を聞いて、中村さんの娘は心配でたまらなくなります。お父さんが退院した後、どうやって支えていけばよいのか、特に費用面で不安が募ります。

お父さん、家に戻ったらちゃんと生活できるかな……。足が悪いと、トイレとか行きにくいだろうし……。

中村さんの娘

確かに、退院後に動き回るのは難しそうだな……。でも、何か手があるかもしれない。

中村さん(80代)

そんな時、病院の医療ソーシャルワーカーが声をかけました。

ソーシャルワーカーの登場(介護保険サービスの提案)

ソーシャルワーカー

中村さん、お話をお聞きしました。不安なことがたくさんおありかと思いますが、介護保険サービスを利用することで、退院後の生活や費用面での心配を軽減できるかもしれません。

介護保険……?実はあまり詳しくなくて、どういうものですか?

中村さんの娘

ソーシャルワーカーは落ち着いた口調で、介護保険制度について説明を始めました。

ソーシャルワーカー

介護保険は、介護が必要になった方を社会全体で支える制度です。保険料と税金によって運営され、様々なサービスが利用できます。

介護保険とは?

介護が必要になった方を社会全体で支えるしくみが介護保険制度です。介護保険は介護が必要な方に、その費用を給付してくれる公的な社会保険です。制度の運営主体(保険者)は、全国の市町村で、保険料と税金で運営されています。

退院後の環境に関する不安

詳しくありがとうございます!でも、具体的にどういうことができるんでしょうか……?

中村さんの娘
ソーシャルワーカー

例えば、訪問介護やデイサービス、介護施設の利用などがあります。また、福祉用具のレンタルや購入、住宅改修なども介護保険でサポートされていますよ。中村さんの場合、歩行器のレンタルがオススメです。

歩行器のレンタル?そんなこともできるのか?

中村さん(80代)
ソーシャルワーカー

はい。歩行器があればトイレでの転倒予防に効果的ですし、介護保険を使えば費用の一部が支給されます。

それはいいですね!お父さんも使いやすくなると思います。

中村さんの娘

そうだな。安心して使えそうだ。

中村さん(80代)
ソーシャルワーカー

他にも、介護ベッドや車椅子などの福祉用具のレンタルに費用が支給されたり、シャワーチェアの購入や、住宅改修で手すりの設置といった事例もありますよ。

介護保険で利用できるサービス

介護サービスには、在宅系サービス、居住系・施設系サービスがあり、具体的には都道府県や政令市・中核市・市区町村などが指定・監督を行うホームヘルパー、デイサービス、介護施設などになります。
引用:厚生労働省|老健局介護保険制度の概要

申請方法と利用方法の具体的な説明

想像以上に充実しているんですね!でも、費用はどのくらいかかるんでしょうか?

中村さんの娘
ソーシャルワーカー

介護保険では、原則としてサービスにかかった費用の1割から3割を自己負担していただきます。残りは保険から給付されます。具体的な金額は、利用するサービスや所得によって変わってきます。もし不安であれば、私がサポートしますよ。

サポートしていただけるのは心強いです!介護保険サービスはどこで申請すればいいんでしょうか?

中村さんの娘
ソーシャルワーカー

まずは地域包括支援センターで申請を代行してもらうか、市役所で直接申請することができます。介護保険を利用するためには介護認定が必要で、お住まいの市町村による認定調査を受けることになります。申請から結果通知まで約1ヶ月ほどかかります。

1ヶ月もかかるんですか?父の退院までに間に合うでしょうか……。

中村さんの娘
ソーシャルワーカー

心配しないでください。入院時から申請できますし、退院後の生活に向けて準備を進めることができます。

どこで申請すればいいの?

  1. 市町村の介護保険申請窓口(大分市の場合は、長寿福祉課です)
  2. 地域包括支援センター(大分市の地域包括ケアセンターは中学校区を基本として設置されています。)

介護サービスを利用するまでの流れ

介護サービスを利用するには次のような手続きになります。

サービスを利用するには、介護認定を受けることが必須です。利用の予定がない人も前もって申請しておくと良いでしょう。

退院後の生活に向けて

いろいろと詳しくありがとう。これなら退院後の生活も少し安心できそうだ。

中村さん(80代)

この度は丁寧にご説明いただいて本当にありがとうございます。早速申請の準備を始めます!

中村さんの娘
ソーシャルワーカー

どういたしまして。介護保険制度は、まさに”もしも”の時の備えです。お父様が安心して自宅に戻れるよう、私たちも一緒にサポートしていきますね。

まとめ

突然の怪我や入院は、誰にとっても不安なものです。しかし、介護保険制度を活用することで、退院後の生活や費用面での不安を軽減し、安心してリハビリに専念することができます。もしもの時のために、介護保険制度の利用方法を知っておくことは非常に重要です。お困りごとがありましたら、当院の青色の制服を着たソーシャルワーカーにお気軽にご相談ください。

ソーシャルワーカー
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