放射線部について
近年、医療機器の発展はめざましいものがあります。その進歩に対応するため、医療を担う私たちにはより高度な知識が求められています。このような状況にあって、高度な専門性の取得と幅広い応用力を身につけることが、日々、大切となっています。 放射線部では日勤業務の各担当機器に精通するとともに、休日・夜間の緊急検査にも速やかな対応が出来るように努めています。また、脳血管撮影検査や心臓冠動脈撮影検査など当直者1人で対応困難な場合は、連絡網体制を充実させることで迅速な緊急対応に取り組んでいます。このような体制を通して、患者さんの救命・治療・QOLに一致団結して傾注していきたいと考えています。
スタッフ紹介
放射線技師 10名
- ※MRI対応植込み型不整脈治療デバイスの施設基準取得
- ※放射線取扱主任1種取得:2名
- ※放射線取扱主任2種取得:2名
- ※放射線管理士:1名
放射線機器
- 一般撮影装置
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2台
- 血管撮影装置(頭部・心臓共用Biplane)
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1台
- 回診用(ポータブル)X線撮影装置
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2台
- 移動式外科用イメージ装置
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4台
- MDCT装置(80列)
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1台
- ワークステーション
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3台
- デジタルX線TV装置
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1台
- 骨密度測定装置
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1台
- MRI装置(1.5T)
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1台
MRI検査(磁気共鳴断層診断撮影装置)
MRIはMagnetic Resonanse imagingの略で、磁気共鳴断層診断撮影装置のことを言います。
MRI検査は、強い磁石と電波(高周波)によって生じる人体の水素原子(プロトン)の共鳴現象を利用しています。共鳴エネルギーの緩和から生じる微弱な電波を受信して、コンピューターによる画像化を行います。
このような原理から、MRIには他の医療画像にはない以下のような特長があります。
- X線を使う一般撮影やCTのようなX線被爆がありません。
- 体中のどの部位でも、任意の断面が撮影できます。
- 他の医療画像と比較してコントラスト分解能に優れているため、血管の描出や病変の発見が容易です。
- 形態的な観察だけでなく、血流の観察や分子レベルの拡散情報の画像化などの機能的観察も行えます。
CT検査(コンピューター断層撮影装置)
CTはComputed Tomographyの略で、コンピューター断層撮影装置と言います。細い線束のX線を人体に照射し、体内を透過したX線量をコンピューター処理することで、人体を輪切り表示にした画像が得られる検査です。
近年、医療ニーズや診療科目の多様化、専門化が急速に進んでいます。患者さんやご家族のQOL向上への関心も高くなり、CTの果たす役割、検査領域も益々広がってきています。当院では優れた医療サービスの提供を目的として、平成30年度7月よりCT検査システムを一新いたしました。
新しいCT装置は、キャノンメディカルシステムズAquilion prime SP SPRED Edition 80列CTとLightning Aquilion 16列CTです。最上位機種320列CTの最新技術と基本性能を継承し、さらなる低被ばく撮影と少ない造影剤での高画質な検査を可能とします。
一般撮影検査(X線一般撮影)
当院では、X線一般撮影の読み取り装置にDR装置を使用しています。X線一般撮影とは、“胸やおなかのレントゲン写真”“骨のレントゲン写真”と呼ばれているX線写真のことです。
読取装置DRは、Degital Radiographyの頭文字です。Degitalはデジタル、RadiographyはX線で撮影した写真のことで、DRとは文字通りコンピューターがX線写真を作ることです。
DR装置は、従来の撮影より鮮明で診断領域の広い画像が得られます。たとえば、今まで画像にするのが難しかった骨や軟部組織の情報を同時に画像化することも可能になりました。また再度X線をあてることもなく、濃度やコントラストを変えた写真も自在に作れます。写真はデジタル化された情報として記録されるため、いつでも画像を呼び出して観察することも出来ます。
血管撮影装置
DSAはDigital Subtraction Angiographyの略です。DSA装置は、頭部・頚部・腹部など、全身の血管を検査することができます。
X線信号をデジタル化し、造影剤注入前の画像と注入後の画像を差し引きすることによって、造影剤が注入された血管のみが鮮明に描出されます。また少ない造影剤で、リアルタイムに撮影画像を観察出来ます。
近年では検査だけでなく、脳動脈瘤・脳動静脈奇形・脳梗塞・肝腫瘍などの疾患に対する治療も盛んに行われます。(IVR;Interventional Radiology=インターベンショナルラジオロジー「画像下治療」)
当院では精度の高いFPD(フラットパネル)システムを搭載し、コイルによる脳動脈治療やステント等による塞栓術に大きな実績を挙げています。
X線透視装置
キャノンメディカルシステムズ Astorex i9(VF・長尺撮影対応)
デジタルX線TVシステムは、透過したX線をFPD(フラットパネルディテクター)と呼ばれるX線検出器で受け取り、リアルタイムの動画で体の中を透視・撮影する装置です。
当院は病院移転を機にCanon製Astorex i9を導入しました。すべての診療科の分野で求められる機能性・専門性を向上させた真の多目的検査・治療を実現します。また、嚥下検査や長尺撮影などの特殊撮影にも対応します。
近年透視装置としての検査だけではなく治療での使用頻度が増えています。
骨密度測定検査
骨密度(Bone Mineral Density)とは、カルシウムやマグネシウムのミネラルが骨にどれくらい含まれているかの指標(g/cm2)です。骨は動的な器官で、血管にとみ極めて盛んに代謝を行っています。成人の骨量の90%は思春期終わりまでに獲得され、以降、吸収と形成を続け、その構成成分は一定の期間で入れ替わります。そして老化に伴い、骨の強度と弾力は低下し骨折しやすくなります。
骨密度検査は、より早期に骨減少の確認が出来る部位の測定が望ましく、腰椎・大腿骨(股関節骨頭部)で測定することが重要です。
当院のX線骨密度測定装置PRODIGYでは、患者さんに優しい姿勢で、短時間に精度の高い測定を行っています。