「骨粗鬆症」について
『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015』によると、“骨強度の低下を特徴とし、骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患”とあります。医療現場において、くしゃみで背骨が折れたとか、つまずいて転んで足の付け根が折れたという話は、枚挙にいとまがありません。これら骨粗鬆症をベースに生じる脆弱性骨折は、一度骨折を生じると連鎖的に骨折を生じるようになり、患者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)を著しく低下させます。当院整形外科では、これまで数多くの外傷症例に対して手術と運動療法に力を注いできました。しかしながら、骨粗鬆症という根本の病態に対しては手つかずの状態でした。この事態を改善すべく、骨粗鬆症を系統立てて治療していく取り組みが「骨粗鬆症リエゾンサービス」なのです。
当院の『骨粗鬆症リエゾンサービス』チームについて
2015年、日本骨粗鬆学会が認定する骨粗鬆症のエキスパート“骨粗鬆症マネージャー”が当院に5名誕生しました。その後、2016年1月1日より“骨粗鬆症性骨折で入院した患者さん”を対象にリエゾンサービスを開始しました。現在、骨粗鬆症マネージャーは5名(看護師2名、理学療法士1名、作業療法士1名、薬剤師1名)です。
骨粗鬆症リエゾンサービスとは、医師と医師以外のメディカルスタッフが相互に連携しながら実施する骨粗鬆症の予防と治療および骨折防止の取り組みのことです。当院で開始したリエゾンサービスの介入症例は、『軽微な外傷(交通事故や転落などの高エネルギー外傷を除く)で骨折を生じた入院患者』としました。入院時に整形外科医師が介入必要と判断したものが対象になります。患者さんが入院すると、マネージャー事務局に連絡が入ります。入院後、担当マネージャーが患者さんの状態(骨粗鬆症の評価や手術の有無など)を把握した上で、患者さん本人あるいは御家族とコミュニケーションをとります。
骨粗鬆症の治療には薬物治療、運動療法、食事療法、転倒予防などがありますが、その具体的な内容を説明し、日常生活の注意点や最適な薬物の選択などをアドバイスします。そして最大の課題は、当院退院後の骨粗鬆症治療の継続にあります。退院後もかかりつけ医と連携をとりながら、2回目3回目の骨折を予防するための治療が継続できるようにマネージメントを行ないます。
医師だけでは到底困難な骨粗鬆症治療のマネージメントですが、専門知識のある骨粗鬆症マネージャーがキーパーソンとなり、院内の医師や他病院・施設と連携をとりながら積極的に活動を行なっていくことで、一人でも多くの患者さんが二度と骨折を起こさないですむようにできればいいと考えています。
骨粗鬆症学会認定医の紹介
骨粗鬆症学会認定医田北 親寛(脊椎外科部長)
まだ骨折したことのない方は、検査をうけてみないと自分が骨粗鬆症なのかどうかわかりません。骨の強度を保ち骨折しないためには自分の骨の状態を知る事が大切ですので、まずは検査をしてみましょう。
残念なことに骨折を生じてしまった方は、骨折の連鎖を防ぐために積極的に骨粗鬆症の治療を行いましょう。
私や当院の骨粗鬆症専門マネージャーが、適切なアドバイスをおこないます。
メンバーの紹介
骨粗鬆症マネージャー
梅木 和美(看護師)
骨粗鬆症マネージャー
神品 利奈(看護師)
骨粗鬆症マネージャー
金指 真由美(理学療法士)
骨粗鬆症マネージャー
河野 瑠里(作業療法士)
骨粗鬆症マネージャー
佐々木 奈緒子(薬剤師)
骨粗鬆症リエゾンサービス事務局
清家 民江(事務員)
「ほねっとわーく」について
「ほねっとわ~く」とは、骨粗鬆症による骨折を防ぐため、強い骨づくりを推進する当院主催のコミュニティです。健康な骨(ほね)づくりを目指す、繋がり(ネットワーク)を広げていく活動でもあります。
医師や看護師、理学/作業療法士、薬剤師、管理栄養士、社会福祉士などと一緒に、骨粗鬆症についてもっと理解を深めませんか?骨粗鬆症を理解して骨折のない健康な毎日を過ごしましょう!